沖縄ガス託送料を申請 都市ガス小売り新規事業者向け


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 2017年4月に控える都市ガスの小売り全面自由化を前に、県内唯一の都市ガス事業社の沖縄ガス(那覇市、我那覇力蔵社長)は2日までに、同社が維持・管理する導管(ガス管)を使って新規事業者がガスを供給する際に発生する導管使用料、いわゆる「託送料金」を沖縄総合事務局に申請した。申請額は非公表。今後、経済産業省内に設置される電力・ガス取引監視等委員会で申請額の妥当性の審査を経て、年末にも認可される。

 都市ガスは、工場など大口需要家向けは1995年に自由化された。来年4月には一般家庭を含む全ての消費者がガス会社を選ぶことができるようになり、資源エネルギー庁は開放される市場規模を全国で約2・4兆円と試算する。

 自由化で新規参入する事業者は、都市ガス会社が敷設した既存のガス管網を使って一般家庭などにガスを供給することができる。2日現在、沖縄ガスを含めた都市ガス事業者は全国で203社。来年4月以降、都市ガスの原料となる天然ガスの貯蔵基地を持つ大手電力会社や、LPガス会社の参入が予想される。

 都市ガス事業者が新規事業者から受け取る託送料金は、ガス供給に必要な総原価や需要を基にして1立方メートル当たりの単価で設定する。一般家庭と企業向けでは料金単価が異なる。

 沖縄ガスによると、県内での都市ガス供給は1960年に那覇市若狭でスタートした。当初は39世帯だったが、同社により導管網の整備が進められ、2015年12月末時点で供給地域は那覇市や浦添市、豊見城市、西原町、南風原町、中城村の6市町村の一部地域に広がり、世帯数は5万6466戸に拡大した。一方、沖縄は米軍統治下時代の影響や都市ガスの原料となる液化天然ガス(LNG)の受け入れ基地が長らくなかったことで、導管整備が県外に比べ大幅に遅れている。13年度の1人当たりの導管延長は全国平均が1・99メートルに対して、沖縄は0・45メートルとなっている。

 都市ガス自由化では、料金の低減化や生活スタイルに合わせた料金体系の多様化、一つの熱源から電気と熱を供給するコージェネレーションシステムの導入促進などが期待されている。