子宮頸がんワクチン訴訟 副作用「治療法を」 宮古島女性、原告に参加


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子宮頸がんワクチンの副作用に対する集団訴訟で、原告に加わった19歳の女性=2日、宮古島市

 【宮古島】国が接種を呼び掛けた子宮頸(けい)がんワクチンが副作用を引き起こしたとして、23都道府県に住む15~22歳の女性63人が国と製薬企業2社に損害賠償を求めた集団訴訟で、沖縄県内原告3人のうちの1人となる宮古島市の女性(19)が2日、本紙の取材に応じた。女性は中学2年の時にワクチンを接種して以来、卒倒やけいれんなどを引き起こしている。女性は「同級生は進学して楽しんでいる。自分は友達とも遊べない。早く治療法を確立してほしいとの思いで原告に加わった」と語った。

 女性は中学3年から頭痛がひどくなり、高校入学後に症状が悪化した。学校で突然目の前が真っ暗になり、日に何度も卒倒し緊急搬送された。1日中脱力感が漂い、動けないことも多々あった。この年の秋ごろからけいれんの発作が頻発するようになった。

 だが当初診断した地元の医師は「心因性のもの」として「都合が悪いとけいれんが始まる」と心ない言葉を言い放った。結局、沖縄本島や東京の病院に入院し、ワクチンの副作用と判明するまで3年がかかった。

 女性は高3になると高次脳機能障害も引き起こし、一時引き算もできない状態に。睡眠障害もあり、朝10~11時ごろに起床し、昼ごろに保健室へ登校する生活を続けながらも卒業を諦めなかった。今年1月、女性は市内の高校から本島の病院内の特別支援学校に一時転入した。入院生活を続けながら課題をこなし、3月に市内の高校を卒業した。卒業後も本土の病院へ入院し、現在は自宅療養を続けている。女性は「特別支援学校の先生になる夢があったけど、体調を崩して自信を無くした。今は何になりたいか分からない」と声を落とす。

 一方、厚生労働省の専門部会は2014年、ワクチンの副作用について注射の痛みや不安をきっかけに症状が現れた「心身の反応」と結論付けた。ワクチン接種と副作用の因果関係は不明との立場だ。県内の原告3人は全員宮古島市在住だ。女性は「声を上げないと何も進まない。みんなが声を上げると裁判でもいい結果が出ると思う」と話し、県内の他の患者も原告に加わることを願った。

 県健康長寿課によると、県内の副反応の報告は28件あり、その内9件が重篤。しかし、国による医療費の救済は、各個人が県を通さずに直接申請するため、県は県内被害者の総人数を把握していない。(梅田正覚)