対馬丸碑建立を否決 宇検村議会 村、来月再提案へ


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 沖縄戦で米軍に撃沈された「対馬丸」の犠牲者が多く漂着した鹿児島県奄美大島の宇検村が、対馬丸の慰霊碑を建立する計画を進めているものの、村議会の理解を得られず計画が止まっていることが3日までに分かった。同村は「当時を知る人が少なくなっている。できるだけ早く建立したい」として、村議会9月定例会に再度、建立費用を計上する考えだ。

 同村によると、同村の宇検集落が2015年初め、慰霊碑の建立を要請。同10月、副村長を実行委員長とする対馬丸慰霊碑建立実行委員会が立ち上がった。

 村は当初、沈没から72年となる今年8月に、犠牲者が多く漂着した船越海岸に建立する予定だった。村は2月、16年度予算として石の調達や周辺整備費用1050万円を計上。だが、村議会側は財政難を理由に建立に反対し、予算案は項目維持のための千円に修正された。その後、実行委員会を宇検集落に移し、村は建立費用の補助金650万円を6月定例会の補正予算に計上したが、賛成少数で否決された。

 慰霊碑建立実行委員会の委員長を務める、宇検集落の川渕昌春区長(63)は「予算が通らなかったのは残念だが、引き続き建立を要請していきたい。悲惨な出来事が二度と起こらないように伝えていきたい」と話す。