安倍政権の「基地と振興リンク」方針、沖縄県民の批判必至


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 【東京】菅義偉官房長官は4日の記者会見で、沖縄の基地問題と沖縄振興について「両方の課題を全体に総合的に推進していく意味合いにおいてはリンクしているのではないかと思う」と述べ、基地問題の進捗(しんちょく)が振興に影響する「リンク論」を初めて認めた。稲田朋美防衛相も長官に同調、鶴保庸介沖縄担当相も4日の就任会見で「振興策と基地問題は確実にリンクしている」と述べた。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題で県への圧力を一層強める狙いがある。リンクを否定してきた政府方針を180度転換するもので、従来発言との整合性も問われ、県民の批判が高まるのは必至だ。
 鶴保氏はさらに「消化できないものを無理やりお口開けて食べてくださいよでは、全国民の血税で使われているお金を無駄遣いしているという批判に耐えられない」とも述べた。
 菅氏はリンクの理由を「政府による沖縄振興の目的には返還された基地の跡地利用はもとより、基地があることによっての基地負担軽減も含まれている」と述べ、基地跡地利用との関連性に言及した。
 その上で、翁長雄志知事が普天間飛行場の辺野古移設に協力しない場合に沖縄関連予算を減らす考えはあるのかとの問いに菅氏は「工事が進まなければ予算が少なくなるのは当然ではないか」とも述べ、移設に反対する知事の姿勢をけん制した。
 菅氏は一方で、沖縄関連予算の3千億円台確保には「しっかり約束通り守っていきたい。そこは変わっていない」と述べた。
 沖縄関連予算を巡っては、島尻安伊子前沖縄担当相が参院選で落選したことで「沖縄に予算を付ける義理はない」との意見が自民党、政府内で高まっており、16年度予算の3350億円を割り込むことは政府内で確実視されている。