児童虐待最多687件 面前DVの通告増 県内15年度


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 沖縄県内のコザ児童相談所と中央児童相談所が2015年度に対応した児童虐待の件数は、前年度比で1・44倍の687件(速報値)で過去最多を更新したことが4日、県のまとめで分かった。集計を始めた1990年度から増加傾向が続いている。児童虐待が後を絶たない深刻な現状があらためて浮き彫りになった。

 県青少年・子ども家庭課は、増加の要因として、子どもの前で配偶者らに暴力をふるう「面前DV」を心理的虐待と捉えて、警察や近隣住民らが通告する事例が増えたことを指摘する。

 2015年度の虐待対応件数の内訳は、暴言や面前DVなどによる「心理的虐待」(303件)が最多。「育児放棄(ネグレクト)」が196件、身体的虐待が173件で、性的虐待が15件だった。

 同課は「面前DV」が多い背景に、経済的な困窮に起因した暴力があると見ている。今後の対応策として「若年層の妊娠出産の支援や、育児で悩んでいる保護者に対する相談を充実させ、虐待の未然防止に努めたい」と話した。

 一方、厚生労働省のまとめによると、全国208カ所の児童相談所が15年度に対応した児童虐待の件数は、前年度比1・16倍の10万3260件で、過去最多を更新。都道府県別では大阪が1万6581件で最多。神奈川が1万1595件で続いた。最も少なかったのは鳥取で87件だった。