建築単価が5年連続上昇 15年度県内、人手不足で人件費高


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 東京商工リサーチ沖縄支店が9日までに発表した2015年度の建築単価(1平方メートル当たり)は、居住用、産業用を含めた全用途で前年度比8・8%(1万5900円)増の19万6千円となり、11年度から5年連続で上昇した。建築棟数が高水準で推移するのに対し職人の不足により人件費が上昇していることなどを背景に、県内の建築単価は上昇が続き、11年度との比較では18・4%(3万500円)増と2割近く単価が上がっている。

 上昇幅も、14年度の6千円増から2・7倍と急増している。東京商工リサーチ沖縄支店は「人手不足により人件費が高騰した分、建築単価に跳ね返っている」と指摘した。先行きについては「人手不足が解消されない限り高止まりの傾向は続く」と分析した。用途別で見ると、居住専用住宅が前年度比6・1%増の18万1600円で、11年度以降の最高額を記録した。

 産業用建築物(事務所、店舗、工場、学校など)は前年度比11・4%増の21万4500円だった。産業用のうち増加率が最も大きかったのは病院・診療所で同22・3%増の29万1700円。事務所が同11・3%増の23万6千円と続いた。一方、唯一前年割れしたのは学校校舎で、同10・2%減の18万8200円だった。

 県内の建築棟数は、14年度は消費税増税前の駆け込み需要の反動から減少したが、15年度は一転して過去6年間で2番目に多い前年度比14・3%増(709棟)の5677棟となった。とりわけ住宅は、世帯数増や住宅ローン金利の低下傾向を反映して同17・5%増の伸びで、駆け込み需要前の水準に戻っている。

 建築単価を構造別で見ると、鉄筋コンクリート(RC)が前年度比9・7%増の20万4600円、コンクリートブロック(CB)が同4・8%増の17万5800円、木造が同1・2%減の16万8500円、鉄骨造が同3・0%減の15万5100円、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)は同9・2%増の24万9千円だった。RC造は全建築物の57・1%を占めた。

 建築単価は国土交通省が公表している工事費予定額を床面積の合計で割って算出した。調査は前年度に続き2回目。