学ぶ機会、不平等 就学援助の市町村格差 保護者から基準緩和求める声


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 沖縄県内の市町村間で助成対象品目や金額が異なる就学援助は、助成内容だけでなく、審査段階から申請要件などが異なるケースがあることが琉球新報の調査で明らかになった。保護者からは「なぜ市町村で差があるのか」と疑問の声が漏れる。多くの項目を聞かれることから、「貧困」のレッテルを貼られることを懸念し、申請を控える保護者も。また認定基準の厳しさに、就学援助の基準の緩和を求める声も上がった。

 3人の子を1人で育てる女性(43)=糸満市=はずっと就学援助を利用してきた。だが長女が20歳となり働き始めると、受けられなくなった。「長女は給料が安く、家に(お金は)入れられない。合算しても児童扶養手当が受け続けられるくらいの額なのに就学援助は受給できなくなった」と嘆く。

 現在は中学生の末っ子の修学旅行代8万1500円を捻出するため、配送業の仕事を増やしている。申請要件や基準額が自治体によって異なることに「どこも同じだと思っていた。もっと受給しやすい自治体に引っ越したい」と話した。

 豊見城市は全ての申請者に民生委員の家庭訪問を実施している。申請時には所得証明書も必要なため、保護者からは「経済状況は公的書類で分かる。民生委員の訪問は必要か」と疑問の声も上がる。

 市内の学童指導員の女性(40代)は子どもが小学生だったころ、困窮者のレッテルを貼られるのを避けたくて申請を見送ったことがある。「別の自治体に住んでいたときにはこれほどの項目を聞かれなかった。市町村によってなぜこんなに違うのか」と戸惑いを見せた。

 那覇市の女性(40代)は「スムーズに受給でき、とても助かっている」と話す。ただ就学援助の医療費で対象になるのは中耳炎、結膜炎や虫歯といった「学校病」に限られ、学用品費も足りない。「財政も大変だろうが、もっと拡大してほしい」と切実さをにじませた。