「基地の拡大、悲劇」 環境経済学先駆者・宮本憲一さん


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名護市辺野古を訪れヘリ基地反対協の安次富浩代表(左)と話をする大阪市立大名誉教授の宮本憲一さん=14日、名護市辺野古の浜

 大阪市立大名誉教授で、環境経済学の国際的先駆者である宮本憲一さん(86)が14日、米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市辺野古を訪れた。辺野古新基地建設に反対し、抗議活動を続けるヘリ基地反対協議会の安次富浩代表らと意見交換した宮本さんは「基地を拡大する公共政策が押し付けられ、まかり通っていることが悲劇だ。公共性の基本は全ての市民の人権を確立することだ」と強調した。

 意見交換に先立ち、宮本さんは汀間漁港から船に乗り大浦湾の海底に群生するアオサンゴを確認。「いかに大きなサンゴ礁があるのかが分かった。立派なサンゴ礁で、当然このサンゴ礁が破壊されることはやってはいけない」と強調した。

 宮本さんは「公害」の言葉を生んだとされる環境経済学の第一人者。1960年代初めから高度経済成長の代償としての公害の問題を追及し、半世紀以上にわたって公害の現場を調査してきた。基本的人権の尊重や、地方自治の独立の視点から、四日市ぜんそくなど四大公害などの問題解決に取り組んできた。

 宮本さんはこの日、ヘリパッド建設が進む東村高江も訪れる予定だったが、体調を考慮し断念。安次富代表は「宮本さんの提言や、(宮本さんが創設した)日本環境会議はとても意義がある。国際的に沖縄の基地問題を訴えていかないといけない」と話した。

 宮本さんは日本環境会議が開かれる10月も沖縄を訪れる予定。

英文へ→Environmental economics pioneer Kenichi Miyamoto calls base expansion “tragic”