中南部に医療クラスター 先端技術実用化を推進 県、産業戦略を策定へ


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 沖縄県は18日までに、宜野湾市の西普天間住宅地区跡地で整備が検討される「国際医療拠点」を中核にして、本島中南部に健康・医療産業の企業や人材を集積させる「沖縄中央クラスター」(仮称)の形成を進める方針を固めた。先端医療技術の実用化や感染症の医薬品開発など高度産業の推進を図る。県は本年度に実施計画となる「県健康・医療産業活性化戦略」(仮称)を策定し、産業振興の骨格を定める。

 国際医療拠点には、世界最先端の高度医療機能の導入や琉球大医学部と同付属病院の移設が検討されている。沖縄中央クラスターは国際医療拠点の直径25キロの範囲に立地する琉大や県立中部病院、沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センター、工業技術センターなどの企業や大学、行政機関との相互連携を構想。名護市の国立沖縄工業高専や恩納村の沖縄科学技術大学院大学とも連携して研究開発、人材育成を広域的に展開する。

 県ものづくり振興課がこのほどまとめた調査報告書では、クラスター形成の方針として(1)先端医療(2)感染症対策(3)健康・医療情報(4)ストレス計測・健康増進―の四つの重点産業群が示された。計画実施による試算では2025年までに県内の医療・福祉産業の就業者数が4万人増え、生産額は3千億円増加するとの見通しを示した。

 先端医療産業群は、国内トップクラスの琉球大医学部の脂肪幹細胞活用による再生医療提供のほか、国際共同治験や新薬開発、再生医療機器の開発・販売の推進などを掲げた。

 健康・医療情報産業群は、那覇市医師会が定期健診や臨床検査のデータを管理する「LHRシステム」など、健康・医療データの解析ビジネス、健康アプリの開発を想定している。

 感染症対策拠点産業群は迅速診断ビジネスの確立、ワクチンと医薬品の実用化を提案。健康増進産業群は、沖縄の自然やリゾート環境、IT技術を活用した、ストレス診断を含む健康回復プログラムの提供などを挙げている。
(宮城征彦)