翁長知事「民主主義が困難に」 辺野古の違法確認訴訟が結審 9月16日に判決


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米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡る違法確認訴訟が行われた福岡高裁那覇支部の法廷=19日午後(代表撮影)

 翁長雄志沖縄県知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを巡り、国が県を相手に提起した不作為の違法確認訴訟の第2回口頭弁論が19日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で開かれ、結審した。本人尋問で翁長知事は、新基地建設問題を解決するため国と協議する重要性を強調。代執行訴訟の和解成立後も実質的な協議に応じずに提訴に踏み切った国の姿勢に疑問を呈して、是正の指示に従わなかったことは違法な「不作為」には当たらないと主張した。その上で「このような事態が繰り返されると、日本の民主主義・地方自治は今後大変な困難を窮める」と訴えた。判決は9月16日に言い渡される。

 尋問で翁長知事は、国地方係争処理委員会が県と国の紛争解決のために真摯(しんし)な協議を促す結論を出したことを繰り返し説明。和解後の国との協議について「本質的な議論はなかった」と指摘した。十分な議論を経ず、訴訟提起までの手続きを迅速に進めてきた国の姿勢には「地方自治の認識に大変疑問を持っている」と不快感を示した。

 敗訴した場合の確定判決に従うか、国側代理人から問われ「確定判決に従うのは行政の長として当然だ」と回答した。一方で、確定判決に加えて、その後も判決の趣旨に沿った対応を求めた代執行訴訟の和解条項9項については、対象となる訴訟形態が今回の不作為の違法確認訴訟ではなく、県が提起する「是正の指示の取り消し訴訟」だったとして、「この裁判には(効果は)及ばない」とした。

 弁論後の会見で翁長知事は、「公平な判断を示されることを期待する」と述べた。