戦争悲惨さ、次代に 浦添と日向市の中学生平和交流


社会
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疎開体験者の新城啓重さん(中央奥)を囲み、当時の話を聞く浦添市と日向市の中学生ら=19日、浦添市立中央公民館

 【浦添】宮崎県日向市と浦添市の中学生たちが19日、平和について考える交流会を浦添市立中央公民館で開いた。沖縄戦を避けて県内から同市に疎開した体験者2人の話を聞き、戦争の悲惨さや平和について考えた。生徒たちは「戦争は二度と起こしてはいけない」「体験を次の世代に残していきたい」などと話した。

 浦添市からは、長崎市への派遣(7~10日)で被爆の経験について学んだ中学生10人が参加し、事前学習で県内の戦跡などを回って学んだことを紹介した。日向市からは中学生7人が参加した。

 11歳の時に疎開した當山全弘さん(81)=浦添市=は「沖縄は戦場になることが予想され、子どもたちは戦争の邪魔にならないよう集団疎開させられた。宮崎では2年間過ごした。イモを植えたり、田植えを手伝ったりして過ごしたが、寒くて食料がなく、寂しい、大変な思いをした」と振り返った。

 10歳の時、きょうだい3人で疎開した新城啓重さん(80)=中城村=は「寒さの中で手や足が餅のように膨れ、大変苦しい思いをした。だが、沖縄は砲弾の下を逃げている状況。親やきょうだいは、どうなっているのか心配でならなかった」と記憶をたどり、「いまだに戦争の苦しみは消えない。戦争で消えるものはたくさんあるが、平和で消えるものは何もない」と強調した。

 港川中2年の比嘉隆太郎さんは「戦争で疎開した人たちがすごい苦労をしたことが分かった。自分たちは同じことを起こしてはいけないと思った」と語った。

 宮崎県の大王谷学園から参加した中学3年の西森梨紗さんは「親と1週間離れるだけでも、自分ならとても寂しい。戦争はもう絶対にしたくない。悲惨さを次の世代に伝えたい」と話した。