ハンセン一部、市に引き渡し 延期されず先行返還 名護・幸喜


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
引き渡された米軍キャンプ・ハンセンの一部返還地を視察する名護市職員や宮城治史幸喜区長ら=31日、名護市幸喜区

 【名護】米軍キャンプ・ハンセン内で返還が決まっている名護市の一部土地約162ヘクタール(幸喜、許田、喜瀬)のうち、2014年6月末に返還された幸喜区の市有地(約55ヘクタール)が31日に沖縄防衛局から市へ引き渡された。許田区と喜瀬区の土地は17年6月末に返還される予定。傾斜地で跡地利用が難しいため、3区とも返還延期を要請してきた。幸喜区は同区のみが先行返還されたことに関し、米軍普天間飛行場の辺野古移設を容認しないことへの「見せしめ」と指摘し、地域を分断するような政府の手法に批判の声が上がる。

 11年に返還の延期を防衛局へ要請した際、許田、喜瀬両区は米軍普天間飛行場の移設先となる名護市辺野古区が移設を容認した場合は「協力する」と要請文に盛り込んだ。一方、幸喜区は盛り込まずに単独で要請した経緯がある。

 防衛局の重政武輝返還対策課長は31日、幸喜区公民館で土地所有者である市の石川達義総務部長に「返還財産受領書」と「返還財産引渡調書」を手渡し引き渡し手続きを終えた。

 市や区、防衛局の関係者らの現場確認も行われた。14年7月以降の支障除去期間に市や区へ支払われてきた補償金は引き渡しに伴って終了し跡地利用特措法に基づく給付金(年上限1千万円)が3年限定で支給される見通し。