外来種対策で陳情書 奄美の自然保護団体、鹿児島県議会に提出


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 鹿児島県を拠点とする「自然と文化を守る奄美会議」(大津幸夫会長)が、特定外来生物の県外持ち出しを規制する条例制定を求める陳情書をまとめ、2日付で鹿児島県議会(池畑憲一議長)に提出した。奄美大島の石材や土砂は米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設の埋め立て工事にも使用されるとみられており、14日開会の鹿児島県議会で採択されれば、新基地建設工事の進捗(しんちょく)に影響しそうだ。

 先月末には日本自然保護協会など国内の非政府組織(NGO)6団体が国際自然保護連合(IUCN)に共同提出した外来生物の混入防止対策の徹底を求める勧告案が採択されるなど、沖縄島の島しょの生態系が外来種によって脅かされかねない実態への懸念が国際的にも高まっている。

 陳情書は、沖縄県が今年3月、那覇空港第2滑走路建設のための埋め立て石材を採取している奄美大島の採石場周辺を調査した際、6地点全てで特定外来生物のハイイロゴケグモが見つかったことをきっかけにまとめられた。

 自然と文化を守る奄美会議は、外来生物を「入れない」「捨てない」「広げない」と掲げた国の外来生物被害予防三原則にのっとり、鹿児島県でも特定外来生物の移出入を禁止する条例の制定を訴えている。また、ハイイロゴケグモの移出を防止する第三者検査機関の設置と現場対応の必要性も指摘している。

 大津会長は「鹿児島県においても外来種対策検討委員会が設置されるなど、機運が高まっている」と述べ、土砂や石材を搬入・搬出する両県で厳重な対策を講じる必要性を強調した。

 同会議は今後、三反園訓(みたぞのさとし)鹿児島県知事にも陳情を手渡すほか、同条例の制定に向け沖縄県知事や県議会からも鹿児島県議会へ働き掛けるよう協力を呼び掛ける方針。(當銘千絵)