対馬丸悲劇 次世代へ 宇検村長、記念館を見学


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対馬丸記念館で開かれている特別展「奄美大島と対馬丸」を視察する元田信有宇検村村長(右)=5日午後、那覇市の対馬丸記念館

 学童疎開船・対馬丸の生存者や犠牲者が漂着した、奄美大島にある宇検村の元田信有村長(66)が5日、那覇市の対馬丸記念館を訪ね、特別展「奄美大島と対馬丸―いのちと魂を受け止めた島と対馬丸の縁をたどる―」を見学した。元田村長は同村に対馬丸の慰霊碑建立を計画しており「子どもに戦争の悲劇を伝え、遺族や地域の人が手を合わせることができる場所を造りたい」とあらためて決意を示した。早ければ年内の完成を目指す。

 特別展は生存者と救助者の証言をたどりながら、当時の様子を振り返る。10月2日まで。学芸員の慶田盛さつきさん(37)が生存者や救助者、埋葬供養者の証言や絵、写真などを紹介した。

 元田村長は「奄美にも戦争の悲劇があったということをしっかりと地域や次の世代に伝える必要がある。記念館とタイアップし、宇検村で展示できたらいい」などと、慰霊碑の完成に合わせ、事件を伝える展示会を宇検村でも開催したい考えを示した。

 同村は村議会に2度にわたり、慰霊碑の建立費用を計上したが、承認されなかった。元田村長は「地域から要望も出ている。沖縄や対馬丸の内情をしっかり議会に伝えれば分かってくれる」と話し、9月定例会でも再度予算を計上する考えだ。