陸自ヘリ、13日投入へ 沖縄・高江のヘリパッド建設 米軍基地建設で異例の防衛相命令 12日は民間空輸7回


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
   稲田朋美防衛相

 【東京】沖縄県の東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設工事を巡り、工事用の大型重機を搬入するため、政府が陸上自衛隊のCH47輸送ヘリを13日に投入することが分かった。稲田朋美防衛相が12日、陸自に大臣命令を出した。陸自木更津駐屯地の中央即応集団第1ヘリコプター団が投入される。複数の防衛省関係者が明らかにした。米軍施設建設のために自衛隊機が出動するのは異例で、住民らの反発が予想される。

 中央即応集団は海外での特殊作戦などに従事する精鋭部隊で防衛大臣直轄の機動運用部隊。昨年8月の米軍ヘリうるま沖墜落事故では、墜落した米陸軍のMH60ヘリに中央即応集団の「特殊作戦群」が同乗していた。ヘリ団も同部隊に属しており、木更津駐屯地で重機を運ぶ訓練をしていた。

 沖縄防衛局は9日から民間の大型特殊ヘリで、重機を搬入してきた。民間ヘリは重量5トンまでしか対応できないとされ、さらに大型の重機を運ぶため、自衛隊ヘリの投入に踏み切った。陸自ヘリは複数の重機を数回に分けて運ぶ予定。

 環境影響評価(アセスメント)検討図書ではヘリによる重機の運搬は1日に「最大でも5回」「5回程度」と説明し、合計の空輸回数は「20回程度」としていた。防衛局は12日、アスファルトを敷きならすローラー車や倉庫のようなものなど7回の資材空輸を実施した。これで合計「20回程度」の建設資材空輸のうち17回を終えたことになる。空輸作業は早ければ今週中に終了する見込み。陸自ヘリの投入や記載回数よりも多い空輸など、工事を急ぐ防衛省の姿勢が鮮明になっている。

 アセス検討図書で示した回数よりも多く空輸をした理由について沖縄防衛局は同日夜現在、琉球新報の質問に回答していない。一方、県環境部は12日に防衛局が7回の空輸を行ったことについて「当初計画と懸け離れた数字とまでは言えない。現段階で自粛などを求める予定はない」とした。