「自治」に司法判断 協議の評価も焦点


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 翁長雄志知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを巡り、16日に判決が言い渡される不作為の違法確認訴訟。承認取り消しについての初めての司法判断となる。新基地建設問題についての県と国の対立の根深さを反映するように、双方の主張は真っ向からぶつかっており、法廷でも激しいやりとりが展開された。地方自治の在り方や日本の民主主義、抑止力の維持などを問う裁判で司法がどのように判断を下すか注目される。

 不作為の違法確認訴訟の多見谷寿郎裁判長は、同訴訟の前に政府が提起した「代執行訴訟」も扱った。代執行訴訟では移設問題に関して県と国が行ってきた「協議」の内実を問いただし、最終的に双方への和解勧告を出した。今回の違法確認訴訟では、国の是正指示に応じず代わりに協議による解決を求める県の姿勢が「違法な不作為」に当たるかが争点となる中、多見谷裁判長が翁長雄志知事に再び協議の実態を問う場面もあった。「協議」を巡る内容を裁判所が改めてどう評価するかも注目される。

 代執行訴訟では国側が話し合いで知事を説得できる余地はないと主張し、最も強権的とされる代執行手続きを取ったことを正当化した。一方、多見谷裁判長は「やってみないと分からないんじゃないか」などと述べ、後に和解を勧告した。和解では「本来あるべき姿としては、沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべき」などと双方に協議を求めた。

 多見谷裁判長は8月19日の結審直前、協議が不十分だと主張する翁長知事への尋問で「具体的な解決策として『落としどころをこうしましょう』という話し合いには到底至っていない(のか)」と尋ね、協議の深まり具合に関心を示した。