資機材、トラックで運搬へ 高江のヘリパッド建設で沖縄防衛局 モノレール設置計画を中止 新たに道路整備、環境への影響懸念


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
資機材運搬用の道路を整備するために伐採された木々=米軍北部訓練場内

 米軍北部訓練場(沖縄県東村・国頭村)のヘリパッド建設工事に伴い、沖縄防衛局が工期短縮を目的に当初計画していた資機材運搬のための工事用モノレールの設置をやめ、同経路上に新たにトラック通行用の運搬道路を建設することが16日、分かった。これに伴い、当初の予定より大幅な樹木の伐採が生じ、環境への影響が懸念される。

 防衛局は9日、沖縄県環境部に対し、7月に提出した「北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業(仮称)環境影響評価検討図書」に一部変更点があるとして該当箇所の修正版を提出した。その中に幅3メートル、全長約1・5キロに及ぶ運搬道路を設置する内容が明記されていた。防衛局は当初、「下草刈りを行う程度」で大規模の伐採を伴わない工法で全長約1・2キロのモノレールを設置する予定だった。

 県が申請内容の詳細な説明を要求したため、15日には防衛局の担当者が県庁を訪れた。県によると、工法変更の理由について防衛局から「全体の工期を加速するため、運搬能力の高い方を選んだ」との説明があった。また、今後も県と協議する意向はなく、「事後調査報告で対応する」方針だという。

 防衛局側はアセス検討図書は法律や条例で義務付けられたものではなく、「自主的」に行っていることなどを理由に、既に伐採に着手している。また防衛局は資機材の運搬道路の整備に伴う樹木の伐採を沖縄森林管理署に申請し、12日に許可を得ている。防衛省関係者は「一般的には木は切らない方がいいが、希少種は移植で対応する」としている。

 県は今後、申請内容と環境保全措置の妥当性などを早急に検証し、十分な保存措置を取るまで樹木の伐採や運搬道路の建設を進めないよう防衛局側に求めるとみられる。

 北部訓練場を巡っては、防衛局は当初、「自然環境の保全に最大限配慮する」との観点から、「N1」「G」「H」と呼ばれる地区にあるヘリパッドの建設工事を順次進めていく計画だった。だが、工事を前倒しする政府方針に沿い、工事を加速するため3地区の工事を並行して行うことにし、各地域をつなぐ砂利運搬のための工事用モノレールを設置すると県に申請していた。