訪ねて分かる離島の大切さ 沖縄県の離島モニターツアー「島あっちぃ」


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
「島あっちぃ」事業の狙いや仕掛けを語る開梨香社長

 沖縄県は、沖縄本島在住者を対象に県内離島が提案するモニターツアーの旅費8割を助成する離島観光・交流促進事業「島あっちぃ」の参加者を募集している。事業の狙いや、離島振興のための仕掛けは何か。事業を受注した3社共同企業体(JV)を構成するカルティベイトの開梨香社長に聞いた。

 ―事業の狙いは。

 「一つは離島の受け入れ態勢の強化だ。離島はすでに本島・離島の児童を受け入れる『離島体験交流促進事業』を経験してきていて、コーディネーターなどの人材育成が進んでいる。今回の事業を通し、団体客ではない個人やグループを受け入れることができるようになれば、小規模離島も観光による現金収入の道が広がり、病院や高校がないことによって教育費や医療費が高くつくという離島特有の課題を乗り越える力が付いてくる」

 「もう一つは本島住民に離島の重要性や特殊性、魅力などを知ってもらうことだ。事業を通し、離島に残る自然や文化、1次産業について知ってもらう。知ることによって初めて、『離島を守ろう。大切にしよう』と思えるようになる」

 「生活にかかるコストが割高で、土地や水などの資源が乏しいといった県内離島が抱える課題は沖縄の縮図と言える。沖縄の潜在力が凝縮されている離島が輝くことが沖縄全体の発展につながると思う」

 ―乗り越えるべき課題は。

 「離島側は自分たちが設定した金額に見合った満足度を提供できるかが問われる。モニターツアーを実施している間に、段取り力や企画力を高めてもらいたい」

 「本島住民側は、コンビニも飲食店も充実している宮古島や石垣島に行く感覚で参加しては不満が出てしまう。島には島の暮らしがあり、訪れる人はそれを尊重した上で島の自然や文化に触れてほしい」(聞き手・当銘寿夫)

◇応募先は公式ウェブサイト http://acchi.okinawa