高江住民らが国提訴 着陸帯工事差し止め求め


この記事を書いた人 新里 哲

 東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設を巡り、東村高江の住民ら33人が21日、国を相手に工事の差し止めを求めて那覇地裁に提訴した。併せて判決が出るまでの間の工事差し止めを求める仮処分も申し立てた。ヘリパッド建設の差し止めを求める訴訟は初めて。住民側はヘリパッド建設により身体的・精神的苦痛などがもたらされ、平穏な日常を営む「人格権」が侵害されるとしている。

 高江の住民31人と国頭村安波の住民2人が原告。未成年者も0歳児を含め11人が名を連ねた。

 訴状で住民側は、2カ所のヘリパッドが先行提供されている現状でも、オスプレイの訓練による騒音で睡眠妨害や生活妨害などが生じていると強調。

 全てのヘリパッドが完成すると、さらなるオスプレイの訓練激化で「ますます騒音に苦しむことになり、平穏な暮らしを維持できなくなることは明らかだ」とした。県内外の米軍機飛行差し止め訴訟で裁判所は、米軍の運用に日本の法支配は及ばないとする「第三者行為論」により原告の訴えを棄却してきたことから、完成する前段階で工事差し止めする必要性があると指摘した。

 自衛隊・民間ヘリによる資機材の空中搬送など、工事手法そのものにも危険性があるとした。

 提訴後の会見に参加した原告の伊佐育子さん(55)は「私たちは何のために、誰のために生活を犠牲にしなければならないのか」と差し止めの必要性を訴えた。