沖縄の痛み「必死に想像」 小説「怒り」の作者・吉田修一さん


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沖縄も舞台の一つとなった小説『怒り』への思いを語る原作者の吉田修一氏=22日、那覇市天久の琉球新報社

 芥川賞作家・吉田修一氏の同名小説の「怒り」がスターシアターズ系で上映中だ。作中の重要な舞台として沖縄が登場し、米兵による少女の暴行など、基地による被害に悩まされる様子も描かれる。吉田氏が22日、那覇市の琉球新報社を訪れ「沖縄の人間ではないが、自分のできる範囲で、想像しなくてはいけないという思いで必死に書いた」と語った。

 東京で殺人事件が発生し、その1年後、千葉、東京、沖縄に素性不明の男性が現れる。3人は事件の犯人と同じ特徴を持ち、男性の周囲の人々の心の葛藤などが描かれる。沖縄の厳しい現状も描いており「完璧とはいえないが、自分の問題として捉え、書くことが小説家の仕事だ」と話す。

 映画の出演は渡辺謙さん、宮崎あおいさん、広瀬すずさんら。吉田氏によるトークショーとサイン会が24日午後3時から那覇市のジュンク堂書店那覇店である。入場無料。問い合わせは(電話)098(860)7175。