アカジン完全養殖成功 石垣の国立水産研 産業化に期待


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 【石垣】国立研究開発法人の西海区水産研究所亜熱帯研究センター(石垣市)は28日、県三大高級魚で知られるアカジン(スジアラ)の完全養殖に成功したと発表した。今後、生産した稚魚を、1万匹単位で出荷サイズ500グラムまでの養殖試験に取り組む。石垣市はアカジンの陸上養殖による事業化を目指しており、天然魚の保全のほか新たな養殖産業の創出に期待が高まる。

 同センターは捕獲した天然魚から生まれたスジアラを人工飼育下で成魚まで育てて交配させ、今年6月に初めて受精卵を確保した。その受精卵から飼育を図り、7月に全長32・9ミリの稚魚2万9千匹を生産し、天然親魚に頼らない完全養殖に成功した。

 スジアラはハタ科、スジアラ属の魚で熱帯亜熱帯域に分布。市水産課などによると、国内では1キロ2500~3500円で取引される高級魚。県内のほか中華圏でも人気が高い。民間企業による2013年の調査で、スジアラの中国への供給量は年間4千トン。

 同センターは「天然魚を利用しない種苗生産を可能にし、天然魚の保全に貢献できる。養殖研究を重ねることで市場価値の高い系統を選抜でき、他国との差別化も可能となる」と意義を強調した。