【ヘリパッド取材班】東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設で、28日に米軍提供施設内の工事現場周辺で機動隊員が抗議市民をロープで斜面を引き上げて排除した件で、ロープが人や物を支える用途では作られていない標識用のロープだったことが30日、分かった。
市民らに結び付けられたロープは黄色と黒のしま模様で、通称「トラロープ」と呼ばれる。直径は約1センチ。愛知県でトラロープを製造する会社は本紙の取材に対し「人や物を支えたりする用途では作られていない。強度は弱い」と回答した。
県警は取材に対し、市民らが刑事特別法に違反して提供施設内に入ったことを強調しつつ「落差10メートルの急斜面が雨の後で滑りやすく、高齢者も多かったためロープ2本を手すりに、別の2本を命綱として使用した」と説明した。「速やかに危険防止と安全確保を図る必要があったため、やむを得ず現場にあった物を使った。警察官5、6人で押し上げるなど安全策を徹底した」と答えた。
ロープを使用された名護市の60代女性は「手を上げた際、体を擦り抜けた。私を引っ張るためのロープで命綱ではない」と反論した。
◆強度は弱い、人用には適さず
県山岳連盟・雨宮節会長の話 トラロープは原則から言うと、強度が弱いため人命が関わるときには使ってはいけないし、全く適さない。ただ、手すりとしての使用や2本以上での同時使用は補助的には問題ない。現場が斜面で真下につるされている状態ではないので、使用する可能性は考えられる。