泊魚市場移転「見直しを」 6漁業組合、那覇市長に要請


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城間幹子市長(右)に泊魚市場移転の見直しで協力を求める泊地区漁業生産者6組合の代表ら=30日、那覇市役所

 競り機能を有する泊魚市場の糸満漁港移転について、那覇地区漁業協同組合(山内得信組合長)など泊地区漁業生産者6組合が30日、魚市場を泊地区に残すよう計画の見直しを求めることを表明した。糸満移転は県漁業協同組合連合会(県漁連、上原亀一会長)も同意し、県も移転に向けた計画を進めているが、市場への水揚げ高の高い6組合の要求で、計画の進捗(しんちょく)に影響が出る可能性が出てきた。

 那覇地区漁協、県近海鮪(まぐろ)漁協、那覇市沿岸漁協、伊良部鮪船主組合、睦船主組合、県近海鮪漁業船主協会の6組合は、30日の城間幹子那覇市長への要請で、競り市場を移転し、泊を消費地として整備する計画に「消費地と競り市場はセットであるべき」と指摘。糸満での水揚げは「(移動)コストもかかり合理的でない」とした。施設の老朽化は、那覇市の第3次水産振興基本計画に泊魚市場も含めた再整備が予定されているとして「解決できる」とした。那覇地区漁協の山内組合長は「合意形成なく移転が決まった。泊の方が消費地にも近く県水産業の発展につながる」と計画の再考を求めた。

 県漁連の上原会長は「高度衛生管理型荷捌(にさばき)施設や関連施設整備が強く求められている。泊魚市場は施設が狭い。県は糸満漁港での整備を進めており、県漁連としても漁業者や流通関係者の理解を得ながら整備に取り組みたい」と語った。

 県水産課は今回の要請に「糸満に新しい競り市場を造ることを否定するものではないと思う。競り機能は糸満が全県レベルの市場とし、泊を(地域の市場である)その他市場として残すこともできる。泊への残し方を検討する必要がある」との見解を示した。

 泊魚市場は、県漁連と那覇地区漁協の2団体で構成する泊魚市場有限責任事業組合(LLP)が県の認可を受けて運営。2000年から糸満漁港への移転が計画されていたが、反対の声が多く進んでいなかった。6月にLLPの7割を出資する県漁連が移転に賛成し、計画が動きだしていた。