いわて国体開幕 重量挙げ・糸数V、宮本2位


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 【岩手国体取材班】「広げよう感動。伝えよう感謝。」をスローガンに、第71回国民体育大会(2016希望郷いわて国体)が1日、岩手県北上市の北上総合運動公園北上陸上競技場で開幕した。

 総合開会式では、県選手団約50人が先頭で入場行進し、活躍を誓った。出場する県選手は先行競技の競泳を含め、計347人(成年157人、少年117人、監督47人、役員ら26人)。

 この日から重量挙げ競技が江刺中央体育館で始まった。男子69キロ級に出場した宮本昌典(沖縄工高-東京国際大)がスナッチ137キロで同種目1位となった。トータルは303キロ(ジャーク166キロ)で準優勝だった。69キロ級は東京から糸数陽一(豊見城高-日大-警視庁)も出場した。スナッチは宮本に1キロ及ばなかったが、ジャークで逆転。トータルで大会新記録となる306キロ(スナッチ136キロ、ジャーク170キロ)を記録して頂点に立った。

 岩手県での国体開催は1970年以来、46年ぶり。東日本大震災の被災地としては初の開催となる。

重量挙げ成年男子69キロ級 スナッチ3回目で137キロを挙げ雄たけびを上げる宮本昌典(東京国際大学)=1日、岩手県奥州市の江刺中央体育館(諸見里真利撮影)

◇宮本 69キロ級主戦場の意地

 69キロ級のスナッチ最終試技で137キロを成功させると、宮本昌典(沖縄工高-東京国際大)は強く拳を握った。直前には62キロ級から階級を上げて出場していた糸数陽一が136キロの記録を残していた。「相手が糸数さんでも、普段は下の階級に出ている選手に負けるわけにはいかなかった」。69キロ級を主戦場として戦う宮本が意地を見せて、スナッチで糸数を上回って優勝を決めた。

 1~2カ月前から調子が上がらなかったようで、「練習でも思うような結果を残せなかった」と語る。それでも大会に向けてコンディションを整えてきて、「いつも通りやれば(試技を)成功できる」と信じていた。スナッチでは糸数と一騎打ちで優勝争いを繰り広げ、「絶対に1位になりたかった」と強い気持ちをぶつけた。

 一方でジャークは「ぼろぼろでした」と苦笑いする。3本の試技全てを成功したものの、最後の166キロでは立ち上がる前に腰が沈みかけた。「調子は良くなかったけど意地で持ち上げた」と振り返る。

 トータルでは糸数に次ぐ2位で、「悔しい気持ちはある」。リオ五輪でも結果を残した糸数は、いつも意識している存在だという。目標は東京五輪でのメダル獲得で、「いつかは糸数先輩を超えたい」と引き締まった表情で話した。(平安太一)

重量挙げ成年男子69キロ級 ジャーク3回目で170キロを挙げ、トータル306キロの大会新記録で優勝した糸数陽一(警視庁)

◇糸数、階級上げも貫禄 トータル大会新

 リオ五輪62キロ級で4位の糸数陽一(豊見城高-日大-警視庁)が貫禄を見せつけた。減量を回避するため今大会は階級を一つ上げて出場。ほかの選手と比べて体重は4キロ近く下回るなど不利な面もあったが、「オリンピック選手として負けられなかった」。スナッチ、ジャークはともに2位ながら、トータルで大会新記録の306キロをマークして頂点に立った。「最高のパフォーマンスができてほっとしています」と笑顔を輝かせた。

 五輪の疲労も残っていたと言うが、「安定して6本の試技を成功させれば記録はついてくる」と落ち着いていた。

 スナッチは地元の後輩、宮本昌典と1キロを争う接戦を繰り広げた。「いい緊張感があって精神的に鍛えられた」と語る。

 スナッチ136キロ、ジャーク170キロはともに五輪の62キロ級で出した自らの記録を上回る。69キロ級での自己ベストも更新した。「オリンピックの後でいいスタートが切れた」とうなずく。

 リオ五輪後では初となる大会で結果を残し、「東京(五輪)に向けて手応えがあった」と感じている。一方で「海外で戦うためには力が足りない」と言い、今後は海外遠征も視野に入れる。東京五輪でのメダル獲得へ。再び世界の舞台で戦うために成長を続けることを誓った。
(平安太一)