那覇市寄宮の那覇市民会館が国の耐震基準を満たしておらず、大地震などの際に倒壊の恐れがあるとして、13日から休館する。城間幹子市長が12日の定例会見で発表した。利用再開のめどは立っておらず、事実上無期限での休館。市は年内にも耐震補強の予算や期間を算出し、年度内にも取り壊すかどうかも含めて市の案をまとめ、住民や識者を交えた委員会で協議する。
市が3月3日から9月30日までに実施した耐震診断では、施設の1階部分が最も低い値になり、震度6強以上の地震で倒壊する可能性が高いとの結果が出た。コンクリートの中性化や鉄筋の腐食が進み、「耐久性が確保されていない建物」と判断された。城間市長は休館を「市民の安心安全に万全を期すため」と説明した。
市民会館は沖縄を代表する建築家、金城信吉氏の設計で1970年に開館。72年には復帰記念式典が開かれ、戦後沖縄文化の中心的な役割を担った。近代建築物の保存を進める国際組織ドコモモからも認定を受け、建造物としても高い評価を受けてきた。
一方、建物の老朽化などから、市民会館機能は2021年に旧久茂地小跡地に建設予定の施設に移転することが決まっている。建物の保存を求める声なども上がっている。