一括交付金 沖縄県、国の減額算定に疑問「他県と比較もなく」


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 総務企画委員会で、内閣府による2017年度の沖縄関係予算の概算要求で沖縄振興一括交付金が減額されたことを問われた県側が、減額の算定方式に疑問を呈す場面があった。

 概算要求は、16年度比275億円減の1338億円で、沖縄振興特別推進交付金(ソフト交付金)が138億円減の668億円、沖縄振興公共投資交付金(ハード交付金)は137億円減の670億円。内閣府はこれまで指摘されてきた繰越額と不用額を参考に減額算定した。

 ソフト交付金では15年度の予算額1016億円(14年度の繰り越し210億円含む、県分633億円、市町村分383億円)を分母に16年度への繰り越し173億円を割った値17%が基に、県と市町村の率をそれぞれ16・8%と17・4%になるとした。「普通会計決算の国庫支出金」を分母に、「国庫支出金のうち翌年度の繰越額」を割り12~14年度で平均すると、県の割合は6・1%、市町村は5・8%。

 先の数値約17%で出した県と市町村の値から、12~14年度平均の割合を引くと、県が10・7%、市町村が11・6%になる。この値を県と市町村分の予算額に掛けると、それぞれ67億円、44億円となる。これに不用額27億円(県分21億円、市町村分6億円)を足すと、減額分の138億円が算出される。

 ハード交付金はまず、16年度予算1146億円(15年度繰り越し339億円含む)において、14年度の全国公共事業関連事業費の繰越率19・5%で算出した224億円を算出。県の15年度繰り越し339億円との差額116億円を、16年度予算807億円(繰り越し除く)から引く。さらに15年度不用額14億円と16年度で閣議決定された補正予算7億円を引くと、17年度の670億円となる。

 金城武総務部長は委員会で事業の執行率が改善されていると強調し、「繰り越しは翌年度で執行され、沖縄振興に役立っている。不用額は一定程度発生するもので、他県の比較などもなく不用額を全額削減しているところに疑問がある」と指摘した。質問した花城大輔氏(沖縄・自民)は、「政治的背景がそこにあるのか、(翁長雄志)知事に答弁してもらいたい」と要調査事項として求めた。