オリオン、台湾で人気 5年で輸出量4倍 セブンに売り込み


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
屋外でビールを楽しむ地元客ら=16日、台湾台北市

 オリオンビール(浦添市、嘉手苅義男社長)の台湾での認知度が着実に向上している。1997年大手日系ビールメーカーが販売していなかった樽(たる)生の展開をはじめ、2015年に台湾コンビニのファミリーマートの定番商品として販売を始めた。15年度の台湾輸出量は前年度比72%増の1648キロリットルで過去最高を更新、直近5年間で輸出量は約4倍に伸びた。現在、台湾コンビニ最大手のセブンイレブンとも商談を進めており、定番商品としての取り扱いを狙う。今後台湾市場の開拓をさらに強化していく。

 オリオンビールは97年から缶ビールを台湾へ輸出販売していたが、知名度が低く、大手他社よりも価格が高いため、当初は苦戦した。同年、県物産公社の台湾駐在員として勤務していた諸喜田伸氏(現貿易会社のパレット社社長)を通して、台湾での樽生販売の可能性を探った。同6月にパレット社との取引をスタートし、樽生の販売を本格化した。

 2001年に台湾への年間輸出量は100キロリットルを初めて突破し、10年に台湾セブンイレブンで季節限定販売を始めた。その後、輸出量が順調に伸びており、15年4月からドラフト缶がファミマの「ファミリーマートコレクション」商品として採用された。オリオンビールの台湾への輸出量の大幅な伸びに寄与した。

 現在台湾ファミマの総店舗数は3千店超で、うち約2600店でオリオンビールを販売している。15年度の台湾への輸出量は全海外輸出量3158キロリットルの約半数を占めた。

 販売強化に向けて、ファミマでの取り扱いに加え、現在パレット社を通して台湾で約5千店舗を展開しているセブンイレブンとも商談を進めている。オリオンビール台湾事務所の仲村将要所長によると、4~6月までセブンイレブンではオリオンビール500ミリリットル缶の1万2千ケースを売り切っており、巨大なマーケットに魅力を感じたという。

 嘉手苅社長は「今年台湾事務所を開設し、次は単独営業できる営業所がつくれるかが正念場だ」と述べた。その上で「今後台北だけではなく、台南や高雄など他の場所での売り上げも伸ばしていきたい」と台湾全島への展開を示した。(呉俐君)