家族の歴史、取り戻す 20日から沖縄で世界若者ウチナーンチュ大会 


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
「沖縄のことを話せば話すほど自分が自由になる感じがする」と語るジェフ・タナカさん=18日、沖縄県宜野湾市

 沖縄で20日開幕する第5回世界若者ウチナーンチュ大会(同実行委員会主催)に参加しようと16日、沖縄県系4世のジェフ・タナカさん(27)=米国出身、カナダ在住=が初めて沖縄を訪れた。若者大会では曽祖父の名「タロウ」から名付けた「DJ TARO」としてグランドフィナーレにも出演する。2年前までルーツである沖縄についてほとんど知らなかったというジェフさん。大会参加を機に、沖縄の地を踏み「欠けていた自分の一部を、家族の100年の歴史を取り戻しているみたいだ」と話している。

 ジェフさんの曽祖父ヤマシロ・タロウさんと曽祖母ウトさんは1919年、大宜味村田港からアメリカへ移民し、ロサンゼルス郊外で契約農家として働いた。

 4世のジェフさんが自らのルーツに関心を持ち、沖縄について調べ始めたのは2年前だ。だが、家族から沖縄の話を聞くのには苦労した。県系3世の父は沖縄への思いはあっても、一度も沖縄を訪れたことがなく詳しくない。他の親戚に聞いても「It’s Just Japan(日本の一部よ)」と返され、沖縄の歴史や家族については、誰も知らないため、教えてもらう機会がなかった。「戦時中、自分の先祖も収容施設に入れられた。戦後、父のような3世は『とにかく前に進もう。成功しよう』というプレッシャーがあった。歴史を振り返ることは教えられなかった」と説明する。

曽祖父のヤマシロ・タロウさん、曽祖母ウトさん(ジェフ・タナカさん提供)

 約1年前、親戚から曽祖父タロウさんらの写真を初めて見せてもらった時には「自分を見ているようだ。やっぱりルーツは沖縄なんだ」と心が動いた。

 今回の滞在は2週間。曽祖父ヤマシロ・タロウさんと曽祖母のウトさんの情報も求めている。一緒に来られなかった父や妹の存在を語り「次は家族で来たい。そのためにも私がここに来て、沖縄とのつながりを強く築いておきたい」と力強く語った。(東江亜季子)
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 若者大会は20日の開会式と23日の閉会式の参加者を募集している。詳細・申し込みは大会ホームページ。https://wyuf.okinawa/entry/