〈機動隊差別発言〉戦争体験者「過去にも」「教育が悪い」


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 大阪府警機動隊員の差別発言に、終戦時に県立第一中学校(現首里高)に在籍していた学生でつくる「一中二○会」(宮城政三郎会長)の会員からは、戦中戦後の自らの体験を踏まえて「教育が悪い」「謝罪しない安倍晋三首相も発言者と同じだ」などの声が上がった。

 神里常雄さん(86)は「大分県に疎開したが、到着すると現地の人々が草履を用意していた。私たちは当然靴を履いていたのだが、向こうの人たちに『土人が来るかと思った』と言われた」と苦々しそうに振り返った。高良正次さん(85)は「今回の件で謝罪しない安倍首相も機動隊員と同じ。沖縄県民を土人と思っているのだろう」と指摘した。

 1950年頃、静岡県で生活した與座章健さん(87)は、下宿先の女性に「沖縄の土人はどんな顔をしているのか」と尋ねられたという。與座さんは「女性は私が沖縄出身者と思っていなかったようだったので、自分の顔を示して『こんな顔です』と答えたら慌てた」と語りつつ、「機動隊員の発言を聞いて、また出たなと思った」と感想を述べた。

 10年ほど前、県外からの観光客をガイドした安仁屋實さん(85)は、参加者の男性から「沖縄にいる土人の所に連れて行ってくれ」と言われた。『自分がそうだ』と言うと男性は黙ってしまった。教育が悪いのだろう」と落胆した表情を見せた。