【島人の目】ブリッジUSA誌が最終号


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 ロサンゼルスかいわいで27年間隆盛を極めた日本語の月刊誌「ブリッジUSA」が引退を余儀なくされた。この10月号が最終号となったのである。石井義浩社長は17歳の時、「海外に住みたい」という親の夢に付き合わされてアメリカに移住、それから10年たった27歳の時、「ブリッジUSA」という雑誌を始めたことを最終号を出版するにあたって述懐した。「アメリカで生活する日本人の情報の橋渡し」という意味で「ブリッジUSA」と名付け、「無料雑誌」を始めた。

 それが火付け役となって無料誌はブームを巻き起こし、ロサンゼルス周辺で一時多い時で30社近い雑誌が並んだ。そんなこんなで27年がたち、雑誌のおかげで石井社長はラジオ、テレビ、夏祭りやセミナーなどイベントの開催、レストラン経営、サッカー事業などを展開し、その分野に力を入れることとし、雑誌は廃刊することに決定した。

 ブリッジUSA最終号と同時にムラツチ博子さん執筆のコラム「毎日がスペッシャル」も最終回を迎え、一抹の寂しさが込み上げた。ムラツチ博子さんは、今回大統領選と同じ日に民主党からカリフォルニア州下院議員に立候補しているアル・ムラツチ氏の妻である。アル・ムラツチ氏は沖縄で生まれた元下院議員で、今回再立候補した。

 博子夫人は最後のコラムで夫の対抗者である共和党のハドリー現職議員が展開するネガティブ・キャンペーンについて強い抗議をしている。「夫の支持基盤である日系人グループの一部を扇動して、日系社会内で故意に内輪もめをさせ、投票率を下げることを目的としたものが見え隠れしている」と主張している。

 同夫人は半年ほど前に「私の琉球新報通信員としての力量」についてコラムを書いてくださった事情も踏まえ、楽しみにしていたコラムもこれが最後だと思うと寂しさを覚える。

 政治の難しさは私の取材範囲外だが、今回は黙っていられない、と奮起した。ムラツチさん、当選した際にはマイノリティーのために活躍を期待しています。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)