天国へ響け太鼓 ハワイ・絆エイサー 勝連城跡で演舞


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 「わしたしんかー(私たちの友達)、奏弥(そうや)!」-。ハワイのエイサー団体「絆(チナグ)エイサーハワイ」のメンバー約40人は29日、勝連城跡での演舞を終え、何度も声をそろえた。小児がん「神経芽腫」と闘い続け、9月に他界したメンバー・宮城奏弥ちゃん(享年5)とその家族に向けた掛け声が、精いっぱいの太鼓の音とともに鳴り響いた。

宮城奏弥ちゃんにささげて堂々と演舞するハワイのエイサー団体「絆エイサーハワイ」=29日、勝連城跡

 メンバーは英語で「わしたしんかー・そうや」と書いたバンドを腕に着け、青空の下で舞った。今回のウチナーンチュ大会に合わせて作った。沖縄に行く時も、心はいつも一つだ。

エイサーを楽しんでいた時の宮城奏弥ちゃん(キース・ウエハラさん提供)

 演舞を見終わった曽祖母の新里キクさん(87)=那覇市=の目からは止めどなく涙があふれた。「かわいがってくれて本当にありがとうございました」。沖縄で生まれ、生後約半年でハワイに渡った奏弥ちゃん。新里さんは奏弥ちゃんがエイサーをしている写真などを眺め「かわいかった」とつぶやくと、表情が和らいだ。

 祖父の安谷屋堅(つよし)さん(66)=同=は「こんなに(心の)大きな人たちと友達だったんだね」と奏弥ちゃんに語り掛けるように話し、メンバーに感謝した。

 メンバーのネイトン・サンワンさん(47)は演舞後、さめざめと泣いていた。沖縄で奏弥ちゃんの家族を前にして踊り「『(天国の)奏弥がここにいる』と実感できた」と話した。

 30日は同団体も閉会式の演舞に参加する。玉城利沙会長(29)は「ハワイのパワーとウチナーンチュとしての誇りを胸に、奏弥と一緒にいるという気持ちで踊りたい」と話した。