沖水生 ウニ 陸上養殖へ奮闘 海藻の代替餌研究 人工授精を実施


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 【糸満】目指せ、ウニの完全陸上養殖-。糸満市の沖縄水産高校で19日、総合学科海洋生物系列2年生の20人がシラヒゲウニの人工授精を実施した。激減で禁漁対策が取られているシラヒゲウニを陸上で完全養殖することを目標に、生徒たちは日々、ウニの世話と研究に追われている。

人工授精のためにシラヒゲウニの口に塩化カリウム溶液を注入し、性別を判定する生徒たち=糸満市西崎の沖縄水産高校

 シラヒゲウニは、最盛期の1975年には県内の漁獲量が2200トンだったが、2013年にはわずか2トンにまで減少。近年はさらに減少傾向が進み、各漁協が全面禁漁の対策を取っているが、回復していない。減少の理由は不明という。

 沖縄水産高校では、20年以上、シラヒゲウニの種苗生産に取り組んでいる。14年からは完全養殖に向けた取り組みを実施。今年は14年に人工授精で得た種苗を飼育・成熟させた個体を親ウニとして使用した。

 生徒たちは、ウニの表面のごみを落とした後、ウニの口に塩化カリウム溶液を注入し、黄色い粒状の卵が出たら雌、煙状の白い精子が出たら雄と性別を判定した。雌は卵を採取、雄は殻を割って精巣ごと取り、人工授精を実施した。

 日々、ウニの世話をしている生徒たちが苦労しているのが海藻採り。海に行かずに身近な草などを代用できないかと、クワやバナナの葉、サトウキビの絞りかすなどコストがかからないものを試行錯誤しながら与えている。

 中村信行教諭は「シラヒゲウニは何でも食べるが、餌によっては実が草っぽい味になるのが課題だ。実を取る1カ月前に餌を変えるなど研究が必要だ。あと2、3年かけないといけないだろう」と話す。

 當山博己さん(16)は「水槽の底のふんや食べかすを掃除したり、餌をあげたり世話をしているが、大度海岸まで海藻を採りに行くのが大変だ。早く代わりの餌が見つかってほしい」と語った。