真喜志勉展 那覇で開幕 山下さん演奏で花添える


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真喜志勉さんの作品の前でピアノを演奏する山下洋輔さん=1日、県立博物館・美術館

 戦後の沖縄前衛美術をけん引し、昨年亡くなった真喜志勉さんの作品を紹介する「真喜志勉展 アンビバレント」が1日、那覇市の県立博物館・美術館で始まった。親交のあった世界的ジャズピアニストの山下洋輔さんの演奏が幕開けに花を添えた。

 来年4月16日までの開催で、1970年代から2014年までの作品62点を展示している。タイトルの「アンビバレント」は一つの物事に対して、相反する価値が共存することを意味する。

 オスプレイを描いた「開眼」「黙視」シリーズが並ぶフロアで行われた開会式では、弟で建築家の真喜志好一さんが「ぜひ兄の作品と対話してほしい」とあいさつ。山下洋輔さんが「チュニジアの夜」を演奏した。山下さんは即興で6曲を披露し「真喜志さんの絵と重ねて演奏することができて良かった。真喜志さんにありがとうと伝えたい」と語った。

 真喜志さんはポップで洒脱(しゃだつ)ながら、基地など沖縄の社会的な問題への批判を盛り込んだ作風で知られる。「トム・マックス」の愛称と共に多くの人にも慕われた。妻の民子さんは「戦後70年をいちずに見続け、考え、それを表現してきた主人の絵を見に来てもらいたい」と涙ぐみながら話した。問い合わせは(電話)098(941)8200。