アジアと日本本土の流行混在 沖縄のインフル流行で専門家が注意喚起


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   藤田次郎氏

【藤田次郎琉球大付属病院長の話】

 日本で唯一、亜熱帯に位置する沖縄ではインフルエンザの患者が1年を通じて発生し、途切れることはない。東南アジアも同様であるものの、沖縄は東南アジアと本土の流行パターンが混じり合っている。すなわち冬場はA型が流行し、その後、春から夏にかけてB型が流行するのが(沖縄の)基本原則である。

 ただ、沖縄では今年、例年より早く、10月末に注意報が発令された。冬場のインフルエンザの流行が早く始まったと判断できる。一時的に患者数が下火になるかもしれないが、ピークは12月~翌1月になると予測され、流行期間が例年より長く続くと考える。

 この時期に注意報が発令されるのは珍しいものの、流行のパターンを見ると2012年の流行パターンに酷似している。12年は冬場にA型のウイルスが流行し、次にB型の流行が来て、夏に再びA型が流行した。12年の冬と夏に検出したA型ウイルスをゲノム解析したところ、同じA(H3N2)ではあったものの、遺伝子学的には別のウイルスであることが示された。

 沖縄は那覇空港がハブ空港として機能し、観光客が多数訪れる。海外からの新たなウイルスの流入がこのような流行パターンを形成する要因と考える。

 予防のためのワクチン接種は、大人なら12月初旬までに、子どもは2回接種が必要なので、できるだけ早く接種してほしい。家族に患者のいる人や、飛行機の中など密閉された空間ではマスクの着用を勧めたい。(感染症・呼吸器・消化器内科学教授)