料亭「美栄」の経営継承 琉球料理の研究に 沖縄美ら島財団


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沖縄美ら島財団が経営などを継承した琉球料理の老舗「美栄」=那覇市久茂地

 沖縄美ら島財団(花城良廣理事長)が新会社「琉球食文化研究所」を那覇市久茂地に設立し、同地にある琉球料理「美栄」の経営を継承することを4日、発表した。琉球の食文化を保存・継承することが目的で、既に事業を引き継いで営業を続けている。美栄に残る料理レシピや料理の手順の記録保存する他、琉球王国時代の文献史料と古文書の調査などを手掛ける。同財団は「沖縄の伝統食文化を残すことに寄与したい」としている。

 琉球料理「美栄」は1958年に創業され、最後の琉球国王・尚泰王の四男で美食家の尚順男爵の料理を再現した老舗。近年、後継者不足や施設の老朽化などで存続が課題となっている。

 そのため、これまで首里城の歴史文化などを調査研究してきた沖縄美ら島財団が10月1日に同財団の花城理事長を代表とする新会社を設立し、美栄の経営を継続して沖縄の伝統食文化を継承することを決定。これまでと同様の営業を続ける他、首里地域周辺の王家の食文化などを調査する方針だ。美栄の施設は同財団が買い受けたが、買い取り額は明らかにしていない。

 冊封使の歓待料理の研究・再現を手掛けた安次富順子食文化研究所の安次富順子所長や、琉球料理などを研究するフィニッシングスクール西大学院の西大八重子学院長などが研究顧問を務める。

 同財団は「これまでの研究ノウハウを生かし、新たに琉球料理に関する調査研究を行うことで、料理の復元や後継者の人材育成を図る」と強調。その上で「観光客に琉球料理の素晴らしさを伝えるとともに、料理文化の体験、MICEでの活用など県観光の新しい魅力づくりに取り組んでいきたい」と述べた。