「北山の風」若者共演 沖永良部と今帰仁 絆確認


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フィナーレのダンス「ダイナミック琉球」で共演する今帰仁村と和泊町の中高校生ら=5日、鹿児島県和泊町の笠石海浜公園野外ステージ

 【沖永良部で古堅一樹】現代版組踊「北山の風 今帰仁城風雲録」の沖永良部公演が5日、鹿児島県和泊町の笠石海浜公園野外ステージで行われ、約70人が熱演した。フィナーレのダンスでは今帰仁村と和泊町の中高生18人が共演し、躍動感あふれる踊りで息を合わせた。琉球の三山時代に北山の支配下にあった沖永良部島を統治した北山王の次男「えらぶ世之主」が亡くなって600年となる節目を機に、同島と沖縄のつながりを再認識する記念事業を締めくくった。

 組踊は新城紀秀原作、藏當慎也演出。物語は北山王「攀安知(はんあんち)」の腹心「本部太原」の裏切りで今帰仁城が落城する筋立て。王の遺児「千代松」によるあだ討ちまでを描いた。

 本部太原役を演じた名護商工高2年の上間遼君(17)は「北山王の時代からゆかりのある沖永良部島で公演ができた。運命を感じてうれしい。600年前のご縁がなければこのステージにも立てなかった」と感謝の気持ちを込めた。

 フィナーレのダンス「ダイナミック琉球」で共演した和泊中2年の吉田美空(みく)さん(14)は「北山の風の皆さんはすごい迫力だったが、負けないように踊れた」と笑顔を見せた。

 会場は、多くの家族連れや仲間らが舞台を囲むように芝生上にシートを敷き、弁当を広げて鑑賞した。娘4人と一緒に弁当持参で鑑賞した和泊町の米川朋子さん(41)は「(今回の舞台が)来ると聞いてからユーチューブ(動画サイト)で見ていたが、実際に見るとすごい迫力だった。(ダンスで共演した和泊町の中高生は)ここまで息を合わせてすごいと感動した」と強調した。

 同町国頭から来場した宮原茂光さん(87)は「最高、最高」と笑顔を見せ「北山王が自害したのは残念だった。今帰仁城は2回行き、桜も見たが、それを思い出しながら見ていた。何とも言えない」と感慨深げに語った。