沖縄経済特区の活性化策探る 企業誘致策の強化など提言 沖縄国際大フォーラム


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沖縄経済特区の可能性や課題などについて話し合う登壇者ら =5日、沖縄県宜野湾市の沖縄国際大

 沖縄国際大の沖縄法政研究所が主催するフォーラム「法律学と経済学の交錯│沖縄への提言」(沖縄税理士会、琉球新報社共催)が5日、沖縄県宜野湾市の同大で開かれ、沖縄の経済政策の根拠となっている沖縄振興特別措置法(沖振法)の課題や県経済と密接につながる「沖縄経済特区」の活用方法などについて議論した。県が進める企業誘致を深化させるための方策として、情報収集や法的手続きの一元化など企業進出を効率化するワンストップサービスの構築といった提言があり、法律や経済などさまざまな分野に精通した人材育成の必要性などが提起された。

 「沖縄の可能性と課題」をテーマに基調講演した内閣官房参与で米エール大名誉教授の浜田宏一氏は経済学の観点から「他の地域と違う部分を最大限利用することが沖縄にとって重要で、沖縄が持つ地理的優位性を最大に利用できるかに尽きる」と述べた。

 同じく基調講演した筑波大法科大学院教授の徳本穣氏は法律学、とりわけ会社法の観点から「進出企業がワンストップサービスを享受するための管理運営主体の設置や運営主体間の連携促進が重要だ」と述べた。ポルトガルのマデイラ諸島や米国のデラウェア州など海外の成功事例を紹介した上で、アジアの主要都市との競争に勝つために欧州にある経済特区地域との協定締結などを提起した。

 5氏によるパネルディスカッションでは、琉球新報社の普久原均編集局長が進行役を務めた。沖縄経済特区が抱える課題解決に向けた制度設計について、沖国大准教授の伊達竜太郎氏は10年の時限立法である沖振法の恒久化を提起した。ワンストップサービス構築について「沖振法に根拠条文がなく、仕組みとして取り込める法設計を考えるべきだ。さらに県外だけではなく海外企業の誘致も積極的に行うべきだ」と述べた。

 税理士の鈴木和子氏は「沖振法を含めて税制は大変プロセスが複雑で、地方は財務省を説得するだけの理論武装が未熟だ」と指摘した。「税理士や法律家だけではなく、県や経済団体など関係団体が共同で税制に関するシンクタンクをつくって、恒久的に沖縄が発展するための力を付けるべきだ」と提言した。

 ANACargo沖縄統括室担当部長の桑田保広氏は「沖縄よ真のアジアのハブになれ」と提起。「アジア域内の物流拠点になるためには、アジアの都市との比較でも突出した優位性や特長を持つことが必要だ。これまでは沖縄は日本とアジアを結ぶことに着目していたが、これからはシンガポールや香港、釜山、基隆などのアジアの主要都市とも対抗できる特長を持たないと真のハブにならない」と強調した。