名護出身・山入端萬栄さん、マリアさん 親子でキューバ強制収容


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戦時中、キューバで強制収容された名簿に記載されていた山入端マリアさんや家族の写真を見ながら来沖時の思い出などを語る仲村里子さん(左)と比嘉ゆり子さん=1日、名護市安和

 第2次世界大戦中、親米政権だったキューバで強制収容された日系人の名簿が見つかった件で、例外的に収容されていた女性3人のうちの1人、山入端マリアさんは、名護市屋部出身で同様に強制収容されていた山入端萬栄さんの娘であることが親戚の証言で分かった。さらに収容されていたもう一人のドイツ人女性は「萬栄さんの妻エリザベスさんの可能性がある」と親戚らは指摘している。

 萬栄さんは1908年に炭坑移民でメキシコに渡り、その後キューバに移った。エリザベスさんとの間にマリアさんが生まれ、戦時下のキューバで強制収容された。名簿には萬栄さんの名前も記載されている。

 マリアさんは88年12月、当時住んでいた米フロリダ州から娘らと一緒に来沖して親戚と面会した。マリアさんらの現住所は不明で、親戚らは再会を願っている。

 萬栄さんのめい・仲村里子さん(80)=名護市安和=と、母がマリアさんのいとこに当たる比嘉ゆり子さん(57)=同市屋部=は88年にマリアさんが来沖した際に交流を深めた。マリアさんは萬栄さんを主人公に名護市屋部の山入端家の3代記をまとめた書籍「眉屋私記(まゆやしき)」の著者・上野英信さんの1周忌の集いに出席した。2人は今回、マリアさんの名前が新聞で報じられ来沖時の交流などを思い出したという。

 また、萬栄さんの甥に当たる山入端一雄さん(81)=那覇市=は、報道でマリアさんが強制収容されていたことを知った。88年マリアさんが来沖した際、一雄さんも対面を果たした。「マリアは当時63歳だったから、存命なら91、92歳か。マリアの娘も63歳になるだろうか。当時収容所の話なんて一切していなかった。忘れたい過去なのだろう」と、マリアさんの心中を思い量った。

 仲村さんと比嘉さんは3、4年前にメールでやりとりしたのを最後にマリアさんらの家族と連絡が途絶えており「マリアさんもエリー(マリアさんの長女)もどうしているかな。また会いたい」と切望している。
(古堅一樹、當銘千絵)