伊江の理容室「けんじゅん君」キャラ復活 店主・似です


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「けんじゅん君」を囲む兄の知念吉一さん(右)と弟の賢順さん=10月26日、伊江村東江上の理容室「シーケー」

 【伊江】「けんじゅん君」が帰って来たー。伊江村東江上にある理容室「シーケー」の店先で店主の知念賢順さん(45)に似たユニークなキャラクター「けんじゅん君」が来客を出迎えている。20年前の開店と同時に兄の吉一さん(49)がデザインしたキャラクターで、当時は手作りの看板を掲げたが、度重なる台風の影響により数年で撤去。開店20周年を記念して身長120センチの「けんじゅん君」を兄から弟へプレゼント。愛情に包まれた「けんじゅん君」の復活だ。

 賢順さんは県内で修業を積み、25歳で独立。生まれ故郷の伊江島で店を構えると決めていた。そのころ、母のツネ子さんが病で倒れ、それまで切り盛りしていた「ツネ子商店」を閉めることになり、跡地に「シーケー」を開店させた。

 開店当初、賢順さんは店の名を「たらい」と決めたが家族全員大反対。「母の店があった場所だから自分の思いも入れてほしい」と、吉一さんがロゴマークや弟のトレードマーク的な額のツムジと「初心を忘れない」という意を込めた鼻たれを入れてデザイン。世界に一つの「けんじゅん君」が誕生した。

 知念家は2男2女の4人きょうだい。4歳違いのふたりは賢順さんが中3の時に吉一さんが帰村し、3年ぶりに同じ屋根の下で暮らした。

 15歳で島を旅立つ時から現在も変わらず、良き相談相手は兄という賢順さん。「自分と違う感性や視点を持ち、違う角度から助言してくれる」と尊敬の念を表す。吉一さんは「手のアレルギーはこの仕事を辞めない限り治らないと医師から宣告されても続けているからかっこいい。応援したい」と話し、兄弟愛は強い。

 「開店20周年記念・成人式の『けんじゅん君』」だと思って贈ったが、満20歳は来年だったと落ちもついている。(中川廣江通信員)