弱視の比嘉さん、ボウリング世界金 努力、実を結ぶ


この記事を書いた人 志良堂 仁
毎週足を運ぶ小禄ボウリングで、練習に励む比嘉一盛さん=7日、那覇市鏡原町
世界選手権の表彰台に上った比嘉一盛さん(中央)=8月28日、ポーランド・ウッチ(比嘉さん提供)

 8月下旬にポーランドで開かれた国際視覚障害者スポーツ連盟(IBSA)の「テンピンボウリングシングルス世界選手権大会」の弱視男子のB2クラスで、那覇市の比嘉一盛さん(51)が金メダルに輝いた。10月初旬に東京で開かれた全日本視覚障がい者ボウリング大会の個人戦でも優勝した。ボウリング歴は40年。逆転での金メダルに「自分自身もびっくりした」と述べ、これまでの努力が実を結び、喜びに沸いている。

 比嘉さんの視力は、0・02ほど。ピンは白くぼやけて見えるため、コーチに何番のピンが残っているか確認しボールを放つ。

 世界選手権には、世界9カ国から40人の選手が出場し、日本からは比嘉さんを含む6人の選手が参加した。比嘉さんは3日間の予選を平均スコア214点で勝ち抜き、上位8人による総当たりリーグ戦では2位になった。決勝戦は、リーグ戦で負けたギリシャの選手との対戦。中盤までリードを許し「厳しいかも」と弱腰になりかけていた。

 しかし「最後だから頑張れ」という監督の言葉を背に、最後は4連続ストライクで大逆転した。「個人での金メダルなんて、僕もびっくりしたけど、感動したよ」と笑顔で振り返る。

 比嘉さんにとって国際大会は5年ぶり3回目の挑戦。6年前のマレーシア大会の団体で銅メダルを獲得したが、韓国で開かれた前回大会は、レーンの油の量に苦戦し完敗した。

 比嘉さんは小禄みなみ診療所でマッサージ師として、リハビリ治療などを手掛ける。韓国大会以来、雪辱を晴らす機会をうかがってきたが、4年間スケジュールが合わず大会参加がかなわなかった。今年は職場の理解もあり、10日間の休みを取って出場できた。比嘉さんは「職場に本当に感謝している」と話す。

 「ストライクだけは音で分かる。その音が最高」。来年の世界大会は、福岡県での開催。「今の最大の目標は、世界大会2連覇」と、大好きなボウリングでさらなる高みを目指している。(半嶺わかな)