沖縄県内、採用時の時給875円 帝国データ調査 最賃を161円上回る 人手不足反映か 


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 帝国データバンク沖縄支店は8日、過去最大の引き上げ幅となった2016年度の最低賃金改定に関する沖縄県内企業の意識・実態調査を発表した。調査によると、従業員採用時の最低時給の平均額は、沖縄の最低賃金714円を161円上回る875円となった。最低賃金と採用時の最低時給の隔たり幅を示す乖離(かいり)率は22・5%となり、全国で2番目、差額は全国で3番目に大きかった。

 調査は9月15~30日にかけて県内企業172社を対象に実施。57社から回答を得た。回答率は33・1%。

 沖縄の最低賃金は全国で最も低いが、採用時の最低時給は875円と全国で32番目だった。好調な観光業や堅調な公共工事、民間投資などを背景に県経済の好況感を反映する一方、慢性的な人手不足に悩む企業が人材確保のために最低時給を引き上げる傾向にあるとみられる。調査に回答した企業の約1割は大企業、約9割が中小企業だった。

 全国で乖離率が最も大きいのは島根県の22・6%。差額は東京都の165円、島根県の162円に沖縄が続いた。全国平均では採用時最低時給が958円、差額が135円、乖離率は16・4%だった。

 最低賃金改定を受けて給与体系を「見直した(検討している)」と回答した県内企業は49・1%で、全国の35・0%より高かった。見直した企業を規模別で見ると「大企業」は62・5%、「中小企業」は46・9%だった。業界別では非正規社員を多く抱える「小売り」が100%、「不動産」が66・7%、「製造」で60・0%の企業が見直したと答えた。「見直していない(検討していない)」は36・8%、「分からない」は14・0%だった。

 今回の最低賃金引き上げ額を「妥当」と考える県内企業は49・1%と最多で、「高い」の7・0%を大きく上回っている。

 自社の業績に対する影響については「影響はない」が64・9%と最多だった。「マイナスの影響がある」は12・3%だった。