泡瀬訴訟 「埋め立てで生物減」 判決批判、住民上告へ


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第2次泡瀬干潟埋め立て訴訟で判決が言い渡され、「不当判決」と書かれた紙を手に抗議集会を開く原告団のメンバー=8日午後、那覇市楚辺の城岳公園

 第2次泡瀬干潟埋め立て訴訟で、住民側の訴えを全面的に退けた8日の福岡高裁那覇支部判決に、原告らは「不当判決は許さない」などと批判の声を上げた。弁護団も1審判決に続いて行政判断の中身に踏み込まなかった判決に「表面的な印象がある」と不満げに語る。判決後すぐに上告する方針を示すなど、原告団・弁護団は今後も埋め立てを阻止する決意を新たにしていた。

 「実質的な棄却です」。多見谷寿郎裁判長がそう言い渡した法廷を、原告らは「期待していたのに」と落胆の言葉を口にしながら後にした。裁判所向かいの公園で開かれた集会で原田彰好弁護団長は、行政の裁量を大きく認めた判決を「裁判所は行政がオールマイティーと捉えているのではないか」と批判した。

 記者会見で前川盛治原告団長(73)は干潟の生態系の環境が「相当程度保全される」とした判決に憤った。埋め立て工事で生物の減少などの影響が表れているとして「詳しい分析もなく、行政の言うことをそのまま書いている」と語気を強めた。

 工事が進む中、自然環境を守るため活動を続ける原告ら。前川原告団長は「ラムサール条約の早期登録を目指す」と法廷以外の場でも活動を強化する方針を示す。集会に参加した横田等さん(68)=那覇市=も「地道な闘いを改めて覚悟して臨まなければならない」と決意を語った。