芸大生がパンのデザイン刷新 第一パンの「しかくい」シリーズ


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「しかくいパン」シリーズを共同開発した(左から)第一パンの新垣清太社長と県立芸術大学の嘉味田隼一さん、岩元有紀さん、指導教員の赤嶺雅教授=10日、琉球新報社

 第一パン(那覇市、新垣清太社長)はこのほど、県立芸術大の学生がデザインを担当した新商品「しかくいパン」シリーズを発売した。同社がかつて世に出した「四角いあんぱん」の斬新さに目を付けた学生たちが、展開を広げることを提案。同世代に支持されるパッケージやシリーズを特徴付けるカラーバリエーションなど、デザインの刷新に力を貸した。

 商品開発を担当したのは県立芸大2年の嘉味田隼一さん(20)と岩元有紀さん(19)。試作段階から共同し、あん、ピーナツ、イチゴジャム、カレーのシリーズ4種類を選定。包装のデザインや配色、風味を伝えるコピーを学生たちが考案した。

 企業の視覚戦略を考える「VI(ビジュアル・アイデンティティー)デザイン」の講義で、第一パンが協力したのがきっかけだった。今年5月から半年の講義を経て、学生たちは社名やシンボルマーク、ロゴの転換など、第一パンのイメージ戦略全般について試案を発表。2人が担当した商品部門のアイデアが「しかくいパン」だった。

 嘉味田さんは「あんパンを四角にするユニークなパンづくりが企業の特徴だと思った」と語る。新垣社長は「形にとらわれない発想やデザインの重要さが勉強になった。47年の歴史がある社名は変えられないが、商品なら早くできる」と製品化を申し出た。

 岩元さんは「現実にはいろいろな制約もあったが、自分のアイデアが商品になって社会に出るのを見てうれしさしかない」と語る。

 12月までの期間限定製造で、価格は120円(税別)。新垣社長は「四角いことで具材が満遍なく行き渡り、どこから食べても具材に当たる。学生の挑戦だからと具材メーカーにお願いし、この価格でできた。多くの人や会社が動いていることを知ってもらえたと思う」と目を細めた。