「見本市都市」を形成 県アジア戦略有識者委、商流構築を提言へ


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 沖縄県が策定したアジア経済戦略構想を検証する有識者委員会「県アジア経済戦略構想推進・検証委員会」は15日、県庁で会合を開き、提言案をまとめた。国内外への商流構築に向けて「国際見本市都市・沖縄」をテーマに掲げ、国際商談会・展示会の誘致や地域商社の機能強化、日本全国の特産品とアジア輸入品のアンテナショップを開設して国内外バイヤーの拠点形成を推進することを提案した。

 同委員会は提言書をまとめて、29日に翁長雄志知事に提出する予定。県内情報通信産業のブランド化を図るため、ITの国際見本市・商談会を2019年にプレ開催、20年に本開催する計画も盛り込んだ。

 会合では(1)物流・貿易(2)観光振興(3)IT・スマートハブ-の三つの専門推進部会の部会長から、各部会の提言が報告された。戦略構想を実行する人員や予算を確保するため「アジア経済戦略枠」の設置を県に求めることを確認した。

 物流・貿易は、県産品や全国特産品を輸出する地域商社の機能強化のほか、国際商談会・展示会を誘致するため、県庁内に「展示見本市課」(仮称)の新設などを提案した。中国・福建省の自由貿易試験区との連携や、中古車輸出ビジネスなどの可能性調査・検証を求めた。

 観光振興は、全県的なクルーズ船誘致に対応する司令塔組織の体制構築のほか、「民間資金活用による社会資本整備(PFI)」によるターミナル整備などクルーズ船に関する規制緩和の検討を提言した。国家戦略特区を活用して県内ホテルで外国人技能実習生の受け入れを開始することも盛り込んだ。

 IT・スマートハブは、外国人の高度IT技術者の受け入れを促進するため、ビザ申請手続きの迅速化や在留期間の延長などの規制緩和や特例措置を提案。県が18年度の設立を目指す「沖縄IT産業戦略センター(仮称)」にマーケティング分析機能を付与することを求めた。

 富川盛武委員長は「国際物流機能の次は商流の構築が課題だ」と指摘した上で「国際見本市、商談会の増強や、県産品や全国の特産品を輸出する地域商社機能の強化、アンテナショップ開設などでアジアのバイヤーを呼び込み、沖縄を拠点化することで商流を構築できる」と話した。