普天間政策まだ「白紙」 トランプ氏の安倍首相との初会談 同盟見直しの契機に


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普天間問題へのトランプ次期米大統領の対応について話す米国防総省のクック報道官=11日

 ドナルド・トランプ次期米大統領と安倍晋三首相との初会談が17日、米ニューヨークで行われる。安倍首相はトランプ氏が主張していた在日米軍駐留経費の全額負担について拒否する考えを明確にしており、会談では自身の考えを伝え、理解を求めるものとみられる。ただ、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古移設については「最終的に何を話すのか、首相が決めることで分からない」(日本政府関係者)と会談で言及するかは不透明だ。

 14日、トランプ氏関係者と会談した河井克行首相補佐官は同氏が主張する駐留米軍経費の負担増や環太平洋連携協定(TPP)離脱について「政権移行チームの顔触れがまだ未知数で、打ち出す政策も未知数の段階だ」と述べ、詳細には立ち入らなかったと説明した。

 オバマ大統領や2012年の共和党候補ロムニー氏が選挙中から政権人事に着手していたのとは違い、トランプ氏の政権移行チームは政権を支える約4千ポストの人選に着手したばかり。国務長官にはギングリッチ元下院議長やコーカー上院外交委員長、ジュリアーニ元ニューヨーク市長、ボルトン元国連大使の名が挙がり、国防長官にマイケル・フリン前米国防情報局長、ジェフ・セッションズ上院議員の名前が浮上するものの、普天間移設問題に取り組む外交・安保の陣容はまだ見えない。

 保守系有力シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のマイケル・オースリン日本部長は取材に「普天間に関する政策は政権に入る陣容によって決まる」と指摘する。その上で「私たちは彼の主要なアジアアドバイザーが誰になるのか、政策を決めるのが誰か本当に分からない」と強調した。

 トランプ次期大統領の普天間政策は「白紙」状態だ。安倍首相が初会談で翁長雄志知事はじめ県民の根強い反対があり、裁判闘争にもなっている辺野古移設問題で、従来通りの辺野古移設推進を主張すれば、県民の反発が高まるのは避けられない。

 米研究者や学者の中には、海兵隊の沖縄駐留を疑問視する声もある。首相は「辺野古は唯一の解決策」と繰り返すのではなく、初会談は日本の安全保障という本質的な問題に目を向け、辺野古移設や日米同盟を見直す契機とすべきだ。(ワシントン=問山栄恵本紙特派員)