抗議市民を「違法、悪質」 着陸帯工事 国が資料作成、偏見助長も


この記事を書いた人 新里 哲

 【ヘリパッド取材班】沖縄防衛局が、米軍北部訓練場の新たなヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に反対するため米軍提供区域に入った市民らの写真を掲載し、「悪質な違法行為」と断定する対外的な説明資料を作成していたことが分かった。弁護士は「防衛局が被害を警察に示し、捜査を求めることはあり得るが、(一般からの)問い合わせがあった時に広く提供するのは行き過ぎだ。国の一機関が違法だと断定し回答するのはおかしい」と指摘している。

 個人を特定して「悪質で違法」との記述するなど、沖縄への過重な米軍基地負担に反対する市民運動への偏見を助長しかねない内容となっており、防衛局の人権意識が問われそうだ。

 資料ではさらに市民らが貴重な植物を伐採したり、踏み荒らしたりして環境に悪影響を与えているなどと説明。防衛局は「移設工事に反対する方々の活動内容について問い合わせを多数受けていたことから現状を説明するため作成したものだ」とする。一方、専門家は「環境への負荷は同じ場所にいる防衛局職員、機動隊、警備員も与えている。本質的には大規模な伐採で自然破壊をしているのはヘリパッド工事そのものだ」と指摘した。

 資料は少なくとも9ページ以上で、抗議行動をする市民らの写真を多く添付し「違法侵入者」と表現した。項目名が「違法かつ悪質な妨害行動の例」は、提供区域内に入ろうとする沖縄平和運動センターの山城博治議長の写真を9枚掲載した。

 「環境保全措置への妨害」のページでは、防衛局がヘリパッド周辺に防風柵やリュウキュウチクを移植し、風や光の直射、土壌流出を防ぐ環境保全策を取っていることを説明。工事に伴う大規模伐採に触れず、北部訓練場内で抗議する市民らを指し「移植したリュウキュウチクの周囲を踏み荒らしている」と指摘した。防衛局は取材に対し、資料について「必要に応じて対外的な説明の際にも使用している」と回答した。

英文へ→ODB produces document calling citizens’ protests to helipad construction “heinous and illegal”