事故10年で倍増 沖縄県内高齢ドライバー4万5000人


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 全国的に高齢運転者による人身事故の発生が相次ぎ、問題となっている。県警のまとめによると、県内では2015年に75歳以上の運転者による人身事故が272件発生し、2人が死亡した。高齢運転者の事故件数は、社会の高齢化に伴い05年の141件から年々増加し、12年と14年に295件を記録したが、近年は横ばいの状態になっている。

 75歳以上の運転免許保持者は13年の3万8088人から増加を続け、ことし10月末時点で4万5747人と増えている。65歳から74歳までの運転者の人身事故は、05年の491件から15年は565件と増えた。

 運転免許の更新期間満了日に満年齢が70歳以上の人は、高齢者講習を受けることが義務付けられている。講習を受講しなければ免許更新ができない。

 那覇市の波之上自動車学校では2005年に997人だった受講者数が2015年には1924人となり、高齢化に伴いほぼ倍増している。同校の山内弘志学科主任は「最初は週に1度だった講習が今は毎日午前と午後の2回となった。受講者は確実に増えている」と説明した。

 18日午後に講習を受講した那覇市の男性(86)は「車がないと生活ができないし、ドライブが趣味なので車がなければ人生がつまらなくなる」と運転継続への意欲を示した。付き添いで講習に同席した男性の娘(55)は「父の言う通りにさせてあげたいが、万が一事故を起こしたときのことが心配だ」と父の免許返納を心の中で望む。一方で「高齢者が納得して免許返納に踏み切れるように、通院や生活必需品の買い物を目的としたタクシー利用の無償化など、車なしでも自由に生活できるような制度を行政に期待したい」と話した。

 県内では、免許証を自主返納した際に発行される「運転経歴証明書」を提示すると、バスやモノレールが半額で乗車できる。10%の割引きサービスを実施しているタクシー会社もある。

 県警は高齢運転者に「加齢に伴う身体機能の変化を熟知し、変化に応じた慎重な運転を心掛けてほしい」と呼び掛けている。