国、馬毛島買収へ オスプレイ訓練移転も検討


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 【東京】米軍空母艦載機の陸上空母離着陸訓練(FCLP)を鹿児島県西之表市・馬毛島に移す計画をめぐり、政府が地権者から買収する方向で大筋合意したことが18日、分かった。関係者が明らかにした。政府は普天間飛行場に配備している米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの訓練移転先に利用することを検討している。

 政府と地権者は17日、売買契約に向けて協議を始めることで合意した。これを受け防衛省は18日、売買契約に向けた手続きとして馬毛島の不動産鑑定評価業務の一般競争入札を公告した。期限は来年3月31日まで。売買額は数十億円に上るとみられる。

 馬毛島は日本維新の会が米軍普天間飛行場の暫定的な移転先とする案を提示していた。翁長雄志知事も7月に視察した。だが防衛省幹部は「オスプレイなどの一時的な訓練には使えるかもしれないが、家族が生活する施設がない場所に米軍施設を移転するのは現実的ではない」と暫定移転には否定的な見方を示し、訓練移転の可能性を示唆している。

 FCLPの訓練は現在、硫黄島(東京都)で行われているが、米軍再編で厚木基地(神奈川県)の艦載機を岩国基地(山口県)に移駐する計画で合意しているため、岩国に比較的近くなる馬毛島が候補地となっている。

 菅義偉官房長官は18日の記者会見で「南西地域での防衛体制の充実のため、訓練の実施の候補地として検討は進めている」と述べるにとどめた。