「背中見せて続ける」 最年長海保潜水士 49歳・池田さん


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ウエットスーツに身を包む池田学さん。「若いのに負けないように、背中見せてまだまだ続ける」と話す=7日、那覇軍港

 海上で人命が危険に陥った現場に、真っ先に駆け付けて救助に当たる海上保安庁の潜水士。那覇海上保安部に勤務する池田学さん(49)は、全国の海上保安官の中で最年長の潜水士だ。「まだまだ若い人には負けてられない」と穏やかに笑いながらも、瞳の奥には“現役バリバリ”の力強さがあふれる。

 2016年度末時点での海上保安庁全体の定員は1万3522人で、その中で潜水士は238人。第11管区内には29人が勤務している。海保内でも希望者が多く、適正と体力とを兼ね備えた保安官たちが「狭き門」をくぐって着任する。

 池田さんは今年で潜水士26年目。「40代後半になると、さすがに体力を向上させるのは難しい」と苦笑いするが、「そこはもう経験と技術でカバーだね」と付け加えた。プライベートでも体力づくりを意識しており、現在は沖縄の海を知るために趣味も兼ねてスタンドアップパドルボートで鍛えているという。

 海上保安官を志したのは小学生になった頃だった。出身地の広島県呉市にある海上保安大学校で、制服を身にまとった海上保安官を一目見て憧れ、一直線に海保を目指した。入庁してから潜水士の仕事を知り「これしかないと熱望した」。実際に救難の現場に出ると、過酷な海の上では救えない命もあり、悔しい思いもしてきたという。だからこそ「一人でも多くの命を救いたい」という熱い気持ちが冷めることはない。やりがいを感じるのは「救助した方が無事社会復帰したと聞いた時」だという。

 現在は後進の教育をする立場になった。「けがするな、死ぬなと何度も言っている。そのためにも自分の限界を知らないといけない」と指導に力を入れている。

 今後の抱負を聞くと「まだまだ潜水士を続けたい」と満面の笑みで答えた。(真栄城潤一)