湧上聾人 絵本に 地元偉人、児童に紹介 船越小校長ら98冊贈る


社会
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 【南城】世のため人のために尽くした郷里の先輩の業績を絵本にまとめ児童らに学んでもらおうと、市立船越小学校の兼島兼秀校長ら代表が10月31日、南城市大里庁舎を訪れ山城馨教育長に絵本を寄贈した。

山城馨教育長(左から2人目)に絵本を贈る兼島兼秀校長(同3人目)、長嶺清喜元区長(同4人目)、根間かほり代表(右端)。左端は新垣聡教育部長=10月31日、南城市大里庁舎

 126年前に旧玉城村冨名腰(現船越)で5人兄弟の次男として生まれた湧上聾人(ろうじん)は、川遊びが好きで川に潜った際にけがが元で片耳が不自由に。体が大きく活気に満ちた優しい少年時代「西郷さん」というあだ名で呼ばれていた。

 向学心に燃え早稲田大学へ進学。卒業後、耳の障害を理由に名前を「平二」から「聾人」に改名し、1925年に村議に。3期務め地域発展に活躍した。54歳で衆院議員に当選。常に弱い立場の人のために活躍し、慕われた。

 出身地の船越小学校では2年前、学習発表会で「炎の政治家湧上聾人」と題して、6年生40人が劇を上演して児童をはじめ父母らを感動させた。

 さらに兼島校長が中心となって船越の長嶺清喜元区長、根間かほり・おはなしポケット代表が「湧上聾人の絵本をつくる会」を立ち上げ、市社協地域福祉活動助成事業の支援と湧上さん親族の協力で絵本を完成させた。

 来年は絵本を基に大型紙芝居を制作して、児童らにより分かりやすい読み聞かせを計画している。

 兼島校長ら代表3人は山城教育長と新垣聡教育委員会教育部長に市内の小学校、島尻地区小学校、図書館、各公民館などへ98冊を贈った。

 山城教育長は「早速、各学校、図書館、公民館に贈って役立てていきたい」と感謝の言葉を述べた。(知花幸栄通信員)